【ポルポト時代の粛清】人の心の中にある凶器

2024年3月25日

命乞いをする人を棒で殴り殺す

先日、タケオのキリングフィールドに行ったときに、再度考えさせられたことについて触れたいと思います。

この文章のテーマは、人の心の在り方

私の学校勤務時代に、こんなことをよく言う先生がいました。

「あの人は良い人だよ。」

それって、あなたにとっていい人でしょ。

と思って、毎度聞いていたのですが、言っている本人は、おそらくそんなこと考えてもいないでしょう。

そう。

いい人、悪い人なんて、周りが価値づけているものであって、絶対的な基準ではないんです。

だから、私は、人間には、いいも悪いもない。
ただ、外から見て、そう感じる心があるだけ。

そう、思っています。

 

で、話題をクメールルージュが支配していた時代に戻します。

タケオ州は、元々クメールルージュの思想教育がいきわたっていたことから、元クメールルージュの上級幹部がここから各地方部に送られていき、それまで地方をきちんと統治できていなかった幹部たちを粛正したと言われています。

実際に、私のプレイベン州の友人は、地元を案内しながら語っています。

ここにある井戸に、大勢の死体が放り込まれていました。すべて、タケオから来たクメールルージュの指示でやったことです。だから、私の親せきがタケオ州の人と結婚するという話があった時に家族はみんな反対していました。

こういったことも、地元の人からでしか聞けない話です。

そのタケオ州のキリングフィールドには、小屋の外壁に壁画が描かれています。

それを、一つ一つ拡大してご紹介しましょう。

強制連行されていく人々。感情を失っている絶望感に満ちた表情である。
強制労働させられる女性。涙を流しています。
殺戮は毎晩行われていた。赤ちゃんや小さい子どもたちは、木の幹にたたきつける方法で殺された。小屋の中には、明日にでも殺される人々が大勢監禁されている。
はらわたをえぐられた死体。
命乞いをする人を棒で殴り殺す。
地下牢に閉じ込められる人々。
農具で殴って殺し、血の池に無造作に放り込まれる死体。
見せしめのために、首を吊るされる人。
後ろ手に連行される人々。この後、命を失うであろうことは、明白。
食事は一日1回、しかも90Lの水に缶1杯のお米で炊いいたほとんどお湯の水がゆ。餓死寸前の人々も大勢いた。

これほどまでに、ひどいことができるのか。

と初めてこの虐殺の事実を知った人は、口々に言います。

そして、これらを行っていた人々は、悪い人だと皆さんは考えることでしょう。

しかしです。

当時、加害者として、これに加担していた人々も、現在のカンボジアの国民です。

今は、笑いながら孫の世話をしているおじいちゃんとして生活しています。

彼らは、もちろん過去のことは語りませんし、尋ねても口を閉ざします。

 

このことから、人の心の中には、善も悪も存在すると考えるわけです。

良いとか悪いとか、周りへものさしを向ける以前の問題として、自らの心の中にそれらが共存していることを、人はまず自覚すべきなのです。

誰でも、実際に、戦闘状況下になれば、相手の命を奪わなければ、自分が殺されてしまいます。

クメールルージュの虐殺も、同じ状況。

そうなると、やはり、20世紀のアジアにおけるイデオロギーを学ばざるを得なくなるのです。

いかにして共産主義の思想が生まれたのか。
19世紀~20世紀のアジア諸国がヨーロッパとどのようなかかわりがあったのか。
当時のカンボジアがベトナムや中国などの隣国とどのような関係にあったか。

ただ単に、ポルポトが悪い人間だからだと感じている人は、このビデオをご覧ください。

私は、カンボジアで起こった共産主義による虐殺は、こういったことを知らずして、決して語ることのできない歴史的事実だと思っています。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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