ごあいさつ

2023年8月26日

わたしとカンボジアとの接点

カンボジアの子どもたちへの思いが、JECSAカンボジアの原点です。

皆さま、はじめまして。

インターナショナルNGO「JECSAカンボジア」代表の松田と申します。

私は、かつて、国境なき教師団の一員として、カンボジアのスバイリエン州教員養成大学に教育アドバイザーとして勤務し、教官や教師の卵たちである学生たちに指導法や教材の活用方法を指導してきました。

ある日、教育実習をしている学生を指導訪問するために、ベトナム国境近くの小学校を訪問しました。

校内に一歩足を踏み入れた私は、校内の設備や備品の貧弱さに愕然としました。

下の写真をご覧ください。

これが300名の生徒たちが在籍する学校の図書室です。ぼろぼろになった薄っぺらな本が20~30冊ほど置かれているだけです。

上水道はありませんから、生徒たちは、毎日井戸から飲料水をくみ出して教室へ運んでいます。

なんと、電気が通っていません。照明のない薄暗い教室の中で、子どもたちは授業を受けていました。

長い間、日本の学校に勤めていた私は、これらの学習環境にとても胸が痛みました。

さらに、先生方とお話をすると、子どもたちの過酷な日常生活がわかりました。

・一日2ドル以下で生活する世帯が多いこと。
・教科書や学習用具が買えない家庭環境であること。
・農繁期の家の手伝いで学校に通えない子どもがいること。
・朝夕の家畜への餌やりや糞のかたづけを当たり前のようにやっていること。
・電気がないため日中に宿題を済ませなければならないこと。
・幼い妹を背負いながら家庭学習をする子どもたちもいること。
・そして、しまいには学校に通わなくなる子どもたちがいること。

カンボジアの子どもたちは、日本の子どもたちとは全く違う環境で暮らしていました。

子どもたちの瞳の輝き

ところが、私の心痛とはかかわりなく、子どもたちは出会うたびに、にこやかな笑顔を返してくれました。

辛いと決して口にすることもありません。

彼らの輝く瞳は、どこからくるのでしょうか。

その答えは、一言では言いようがありません。

ただ言えるのは、彼らにとっては無いことは当たり前のこと。

ものは確かにありませんが、心が満たされています。

学校に通うことでさえも、とても幸せなことなんです。

きっと、彼らは希望という光を信じて生活しているのでしょう。

カンボジアで未だ続く教育問題

でも、やはりこの教育環境で育つ先には困難が待っています。

学びの乏しさは、将来に大きなつけとなって返ってくるからです。

自分の言葉でコミュニケーションがとれない。
英語が全く聞き取れない。
ビジネスを起こすノウハウがない。
だから、物売りにしかなれない。
学びのない子どもたちが歩む道は、決まっています。

内戦により、親の世代が教育を受ける機会を逸した経験を、この子どもたちに繰り返させてはなりません。

貧困の連鎖を、断ち切る必要があります。

そのために、どうしても彼らの学びを続けさせたいのです。

言語教育の向上が課題

カンボジア教育省では、高校生の言語能力がとりわけ低いことを教育課題として指摘しています。

これは、初等教育期からの言語活動の不足に原因があると考えられます。

私たちは、それゆえに、小学校学齢期からの言語活動を活性化させ、思考力・判断力・表現力の基礎を養っていくことがこの子どもたちに最も必要なことだと考えています。

人とのコミュニケーションの礎となる言語能力を高めるのが読書活動です。

読書は、読み書きの力を向上させ、考える力を養い、夢を育みます。

読書する姿(フォトギャラリー)へ

我々が、図書を支援し、より良い活用方法を支援することで、子どもたちの言語活動が向上し、必ず将来の役にたつことを信じています。
図書室が魅力的になれば、子どもたちもこれまで以上に喜んで学校に通います。欠席しがちな子どもも少なくなります。

真の支援とは何か。

今本当に必要とされているものは何か。

JECSAカンボジアが行うのは、教育支援です。

学校建設は、大きな支援団体にお任せします。

私たちは、誰もが始められる草の根支援として、まずは「100冊の図書を100校に」を目標に学校図書館の充実を図ります。

そして、現場の教師たちにも図書や教材の活用方法を指導していきます。

描く願いは、「子どもたちの言語能力の向上」です。

皆様からのあたたかいご支援をお願いする次第です。