2020年3月31日
ドイツにおける新型コロナウィルスへの対応
このところ在宅時間が長いこともあり、頻繁にヨーロッパの友人とスカイプで会話をしています。
実測9,229kmも離れた場所にいる者同士が、スカイプでその場感覚で会話ができることには今更ながら驚きはありませんが、今この状況下において、オンラインで会話できることの利便性を改めて感じています。
それは、お互いの現在の状況を安心感を持って、リアルタイムで聞き合うことができるからです。
ところで、今のドイツで起きていることは、非常事態に近いものがあります。
2人以上が近距離にいるだけで、200Euroの罰金。(例外なしに)
10人以上の集まりで罰金刑か5年以下の懲役
バーベキューやピクニックの禁止。違反の場合には、250Euroの罰金。
この罰金が、スペインでは3,000Euro、イタリアでは5,000Euroというので、尋常なことではありません。
友人の住むデュッセルドルフ市の街は、各所で交通規制が敷かれ、外部からの人の流出入ができなくなり、封鎖に近い状態になっています。
これは、まるで戦争中の人々の暮らしのようです。
私も、かつてラインプロムナードを散歩したり、人々で賑わうアルトシュタットでビールを飲んだりしていただけに、この事態に寂しい感情が沸き上がります。
インドでは、警官が外出していた人々を鞭打ちしたり、腕立て伏せをやらせていたりと、異常な事態になっています。
日本でも、罰金刑まではいかないにしても、首都東京が封鎖(ロックダウン)する日も近いように思われます。
日本とヨーロッパとの決定的な違い
私は、今回のヨーロッパのコロナウィルスの拡散には3つの要因があったと思っています。
一つ目は、地理的な要因です。
ドイツは、オーストリア、オランダ、スイス、チェコ、デンマーク、フランス、ベルギー、ポーランド、ルクセンブルクの9つの国と隣接しています。また、フランスは8か国、イタリアは6か国、スペインは5か国と接しています。
陸続きで国境をまたぐため、人の流出入が絶えず行われていたことでウィルスの拡大につながったと考えられます。
私が滞在していた当時には、Euro通貨が導入されていなかったので、国境における検問がありましたが、現在ではEuro圏内は行き来が自由になっていたことが感染の大きな源になっていたのです。
2つ目は文化的な習慣です。
ヨーロッパの人々は挨拶をするときに、たいていハグをします。腕を相手の背中に回し、頬を左から寄せあうあいさつです。これは、お互いの至近距離が数センチメートルの状態を作り出します。また、あまり親しくない者同士でも、握手をする習慣があります。これは、手のひらを相手に見せて、武器を持っていないという表示のために習慣化されたものだそうですが、これも人から人へのウィルスの伝染につながるものです。
また、ヨーロッパの住宅の多くが集合住宅です。その閉鎖された空間に大勢の家族が共同生活をしています。彼らの家族や親せき、親しい者同士が集い合って食事をしたり、お茶を飲む習慣が、感染を加速させたと考えられます。
3つ目は油断です。
中国の武漢で新型コロナウィルスが発見されたとき、ヨーロッパではアジアの国で起こっていることと人ごとのように感じていたように思います。しかし、感染者が爆発的に増え始めた時に、彼らは初めて気づいたのです。すでに、無数の感染者が市民の中に存在していることを。
カンボジアでも他人ごとではないと気付き始めた
当初、カンボジアでも、コロナウィルスは寒い国で起こることだと人々は噂していました。ところが、パンデミック宣言がなされると、この国でも、様々な対策が取られるようになりました。
ベトナム、タイ国境の封鎖
ビザ発給停止による空路の閉鎖
国内の集合や集会、各種イベントの禁止
現在、フンセン首相は、シハモニ国王に「非常事態宣言」の勧告を提言しているというニュースまで入っています。
危惧する外国人への差別
私は、それほど大きな差別を受けたわけではありませんが、この国でいくつかそれに近い行動を目にしています。
「あなたは日本人だから、近寄らないで。」と言われた。
これは、2月下旬に、シェムリアップで日本人旅行者からコロナウィルスが発見されたニュース報道で大騒ぎになった直後に、私があるお店で言われたことです。
飲み物を買いに店に行ったときに、店主がおもむろにマスクを身に付けた。
3月初旬のことでした。「私は日本人だけど、この国に2年半住んでいます。だから、コロナの心配はありませんよ。」と言うと、店主の女性は「あら、そうなの。ごめんなさい。」と笑顔を見せました。
新札を両替したときに、目の前で消毒スプレーをかけていた。
3月下旬、折り目のない新札を渡したら、店主は消毒スプレーを両面に吹きかけて引き出しにしまいこみました。その店主は、いかにも不機嫌で、迷惑と言わんばかりの表情をしていました。
ひょっとしたら、私の思い込みに過ぎないのかもしれませんが、外国人=感染者というイメージで見られていることを感じます。元々、新型コロナウィルスは、中国が発生減だったので、初めは中国人だけがその対象でした。
しかし、現在は違います。世界的な拡大により多くの死者を出している現状から、人々は、潜在的に外国人はコロナウィルスを運ぶと認識しているように思います。
元々、カンボジアは、親日的な国家です。
これまで、日本人と知るやいなや、多くのカンボジア人は私に笑顔を見せてくれました。
一番初めに入居したアパートの大家さんは、日本人というだけで、何も保証のない私を快く入居させてくれました。
タクシーのドライバーにも、中国は嫌いだけど日本人は大好きだと何度も言われました。
学校を訪問したときに、日本の支援に心から感謝していますと何度言われたことでしょう。
私の友人にも、日本人が好きだという人がたくさんいます。
でも、現在、人々は疑心暗鬼に陥っています。
どの国でも同じ、見えない敵におびえるのが人間です。
コロナウィルス騒動の終焉が、人々の心を元に戻すことを信じてやみません。
私は、こんな状況下でも、カンボジア学校支援の心は燃え続けています。
訃報)元ドリフターズの志村けんさんが新型コロナウィルスによる肺炎のため亡くなったとニュースが入ってきました。子どものころから、独自のコントで多くの人々に笑いを与えてくれた「志村けん」さん。謹んで、お悔やみ申し上げます。
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