カンボジアのパームシュガーは夢の味

皆さんは、パームシュガーってご存じですか。

シュガーって、砂糖でしょ?

わたし、砂糖ぬきのブラックで・・・とコーヒーを味わっているあなた。

この記事を読めば、ちょっと、その考えを変えるきっかけになりますよ。

そもそも、日本で言われる砂糖嫌いは、白砂糖についてのお話です。 

白砂糖が体に悪いといわれるのは、G血糖値の中のGI値が急激に上がることからです。

血糖値が上がると、それに対して膵臓からインスリンが大量に分泌されます。この状態が長く続くことによって、糖尿病を引き起こすからなんですね。

でも、砂糖をすべて同類に見ないでいただきたいのです。

日本で一般的に用いられる砂糖は、この白砂糖ですが、それに対して、カンボジアの地方部では料理にはパームシュガー(ヤシ砂糖)が使用されます。

製造の過程で不純物を取り除いてしまう白砂糖に対して、パームシュガーは黄土色をしており、ヤシ由来の栄養素が豊富に含まれています。

特に天然ミネラルやポリフェノールの含有量が多いため、健康や美肌作りに役立つといわれているんです。

パームシュガーの効能

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最近では、国内でも健康食ブームで、こだわりのある方々に人気です。

パームシュガーは、カンボジア語で「トナオッ」と呼ばれ、砂糖ヤシの樹(パルミラヤシ)の樹液を原料に作られますが、この樹液の採取がなかなかの重労働なのです。

パームシュガーの製造にあたっては特に大がかりな工場はなく、いまだに各農家がそれぞれに家内工業で製造しています。

ヤシの花の先端から染み出る樹液を「アンポン」と呼ばれる竹筒にため、それを朝夕の2回樹に登って採取します。

しかし、この砂糖ヤシの樹は10~20mもの高さに成長し、花は当然、頂上部分の葉が密集するあたりに咲きます。

実際に上ってみると実感するんですが、かなりの高さにぞっとします。

そのため、一度に十数本の樹に登り降りしなければならない樹液採取は、けっこうな重労働となります。

この樹液は、採取された直後はやや甘みと酸味のあるサッパリとした味で、そのまま飲んでも健康にいいのです。

ちなみに、この樹液を発酵させた物がヤシ酒となります。(これも、またおいしいのです。)

さて、ここまでは男性の仕事で、ここからは女性にバトンタッチです。

集められた樹液はすぐに発酵が始まり、そうなるとヤシ砂糖造りには向かなくなります。

樹液には発酵を遅らせるため 「ポペール」と呼ばれる木の枝を入れておきますが、それでものんびりはできません。

すぐに女性たちが、家の庭先で大きな鍋を用意し作業を開始します。

作業といっても、4~5時間は、ただ樹液を煮詰めるだけです。

大変なのは焦げ付かないよう目が離せないことで、ときおり大きなヘラでかき混ぜなければなりません。

わずかでも焦げ付けば味が落ちるため、いっときたりとも目が離せません。

じっくりと5時間ほどに煮詰められた樹液は、ドロドロの茶色いアメのようになります。

ここから火を落とし、冷めていくまでの間に大きなヘラでさらにかき混ぜ続けていきます。

ここまでくれば味はもう立派な砂糖にできあがっています。

指先に付けてなめてみれば、このままおやつでも食べられそうです。

これで製造作業はほぼ終了です。

できあがったアメ状のヤシ砂糖は、一部は固まる前にバケツに移し市場などへの出荷用に保管し、残りは筒状のカンに入れて固形状にして、取り出したあと、ヤシの葉でくるんで固形のヤシ砂糖にします。

農家の庭先や市場でみやげ物用として売られている物がこれにあたります。

このヤシ砂糖製造は、11~2月の乾季のみに行われるので、ちょうど今が収穫シーズンにあたります。

樹液採取から製造・運搬まで、すべて家族のみで行うため人件費がかかりませんし、砂糖ヤシの樹も自分その土地の物なら経費はかからず、借り物ならその賃料を持ち主に支払いますが、それも高額ではありません。

かかる経費は、せいぜい煮詰めるための薪代くらいですが、その薪もこちらの農家さんでは、敷地内の枯れ木を集めて使用しますので、すべて自然のものを利用しています。

したがってヤシ砂糖販売のほぼ全額が家族の収入となるため、農家さんにとっては重要な現金収入源となっているわけです。

こちらのおじいさん、サクサクっと上り、タックタナオッを数本採取してきたところです。

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