貧困世帯を見つめて思うこと

私たちが、貧困世帯へのサポートを開始したのは、JECSAカンボジアがスタートした2023年9月からのことです。

貧困の定義って、ご存じですか。

2015年10月に世界銀行が、2011年の購買力平価(PPP)に基づき、1日1.90ドルで暮らす世帯を貧困ラインと定義しています。

その貧困世帯の暮らしぶりがどのようなものであるか。

やはり、そういった暮らしに自らの足を運び、自らの目で見て、五感を通して感じたものでしかわかりようがありません。

カンボジアに来る人は、たいてい、プノンペンのきれいなところを見て回り、シェムリアップに移動し遺跡観光をして帰国の途につきます。

滞在者にしても、プノンペンのボンケンコンのコンドミニアムに住んでいる人々は、決してこれらを目にすることもないでしょう。

確かに、日本にも貧困の問題が存在します。

しかし、彼らは、働こうと思えば、いくらでも職はありますし、国からの支援も受けられます。

これが、日本の貧困は、相対的な貧困といわれるもので、反対に、カンボジアのこういった世帯の貧困は、絶対的な貧困です。

彼らには、国からの支援は一切入らないし、学校に行くためのサポートさえありません。

貧困世帯の生活状況は、カンボジアを訪れて、表面だけ見て回ることでは、わかりようがありません。

私が、それを実感したのは、プノンペンのスラムを現状を知ってからのこと。

これまでスクールサポートを継続し、マクロな支援はできても、こういったミクロな部分をずいぶんと見逃してきたとつくづく感じたからです。

それゆえに、我々が行っているチャイルドサポートには、意味があります。

学びを決して断つことがないように、義務教育終了までは学校に継続して通わせたい。

そういった想いが根底にあります。

学校から3㎞はなれた所に住んでいる5年生になったばかりのRちゃん。

通う手段がないために学校も休みがちに。

そこで、ある日曜日、市場で自転車を購入し、彼女の家まで送り届けました。

困っている子どもに対して、決して見て向ぬふりをしない。

私が、支援活動を行う上で、最も大切にしていることです。

以前、物乞いをする人にあっちへ行けと手で追い払う日本人を見たことがあります。たいへん悲しいことですね。

ご家族も喜んでくれました。

こういうときに実感するのですが、自転車そのものも手にすることもうれしいと感じてもらえるのですが、彼らは決して見捨てられていないという安心感を得ているように思うんです。

自分たちを見てくれている人がいて、光を当てられている感覚。

しかも、それは遠い国から来た異国の人々。

そのことが、こういった世帯の人々の心をどれだけエンカレッジすることでしょうか。

HくんとRちゃんに、新しい制服を購入してあげました。

こうして、私たちは、地域とのかかわりも深めているように思います。

12月に行われたマンスリーサポート。

保護者共々、学校に集まっていただき、言葉を添えて、学費の支援をさせていただきます。

地域の人々とのつながりを生み出し、彼らの心を力強くエンカレッジします。

こういった支援活動こそが、SDG’sで目指す貧困の撲滅に小さな手を差し伸べることになることを願います。

残念なことに、こういった実態を一切見ようとせずに、

文房具を送ればいい

絵本を集めて送ろう

などがカンボジア支援だと、安易に考えている日本国内のNPOも存在します。

彼らは、本当の国際支援活動について、理解を深める必要があります。

やはり、国際支援は、現地に入り込んで、本当の姿を知り、何が必要とされているのかを知ることからはじまります。


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