カンボジアの特別支援教育、今とこれから

活動レポート

誰もが学べる社会に向けての歩み

カンボジアの教育システムは、その独特な歴史的背景の中で、特別支援教育の重要性を増しています。

1970年代後半の独裁政権下では、教育そのものが否定され、多くの知識人や教員が命を落としました 。

この痛ましい過去は、現在の教員の質の課題や学校設備の未整備といった問題に深く影を落とし続けています 。

このような歴史的な傷跡は、単なる過去の問題ではなく、教育システムの中核的な能力に影響を与え続けており、その克服には長期的な能力構築と人材育成が不可欠です。

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この根深い問題があるため、カンボジアの教育の進歩は、このような壊滅的な教育的空白を経験していない国々に比べて、本質的に遅く、より困難な道のりとなっています。  

しかし、このような困難な状況の中にあっても、カンボジアはすべての子どもたちが、その背景や能力、状況に関わらず質の高い教育を受けられるシステムを築こうと尽力しています 。

2018年には、「インクルーシブ教育政策」が取り入れられ、これは、カンボジア教育省の強い意志の表れであり、すべての子どもたちが公平に教育にアクセスできるよう、障壁を取り除くことを目指しています 。  

本レポートでは、カンボジアの特別支援教育の「今」を、現状、直面する課題、そして未来に向けた希望ある取り組みの3つの視点から、分かりやすくお伝えします。

カンボジア特別支援教育の「今」

現在の特別支援教育における就学状況とインクルーシブ教育の理念

カンボジアでは、「障害者の権利の保護および促進に関する法律」(2009年)により、障害児の就学が法的に保障されており、インクルーシブ教育の推進が理念として掲げられています 。

また、障害のある子どもには、それぞれの教育的ニーズに応じた個別教育計画(IEP)が策定されることになっています 。

これは、すべての子どもが質の高い教育を受けられるようにするための、政府の明確な意思表示と言えるでしょう。  

しかし、これらの政策があるにもかかわらず、多くの障害のある子どもが学校に通えていないか、途中で退学しているのが実情です 。

UNICEFの2019/2020年カンボジア社会経済調査に基づくデータによると、障害のある子どもの小学校修了率はわずか23%に留まっており、これは障害のない子どもの81%と比較して非常に低い数字です 。

さらに、2019年のカンボジア国勢調査では、中度から重度の障害を持つ5~9歳の子どもの49%が一度も学校に通ったことがないと報告されています 。

RTI Internationalの2018年の調査でも、障害のある子どもの約半数が未就学または中途退学しているとされています 。  

このような数値は、法的な枠組みは整備されているものの、その実施が実用的な障壁によって著しく妨げられているという、深刻な政策と実践の乖離を示しています。

障害のある子どもの就学には、学校支援委員会、校長、村のヘルスワーカーによる把握、スクールコーディネーターによる家庭訪問とアセスメント、そして保護者の同意を得て就学という手続きが定められていますが、実際にはこれらの手続きが適切に行われず、未就学のままになっているケースも少なくありません 。

一方で、全体的な就学率は低いものの、障害のある子どもの就学率は「増加傾向にある」という前向きな兆候も報告されています 。

教育省(MoEYS)は、パートナー団体と協力し、対象校や家庭ベースの教育を通じて約16,000人の障害のある子どもたちが質の高いインクルーシブ教育にアクセスできるよう支援しています 。

この一見矛盾するような「就学率の増加」と「低い修了率」は、カンボジアの特別支援教育が抱える微妙な現実を浮き彫りにしています。

つまり、子どもたちが学校に「入学する」機会は改善されつつあるものの、一度入学した後のシステムは、彼らを「維持し」、教育を「修了させる」ための適切な支援が不足しているため、中途退学につながっていると考えられます。

これは、初期のアクセスは改善されているものの、入学後の支援の質が不十分であることが、ドロップアウトの主な原因であることを示唆しています。  

カンボジアにおける障害の有無別就学状況を以下の表にまとめました。

このデータは、現状を具体的に示し、障害のある子どもとない子どもの間の教育機会の格差を明確にすることで、問題の規模と、なぜ特別な介入が必要なのかを浮き彫りにしています。

表:カンボジアにおける障害の有無別就学状況(最新データに基づく)

項目データ
障害のある子どもの小学校修了率約23%
障害のない子どもの小学校修了率約81%
中度から重度の障害を持つ5~9歳の子どもで、一度も学校に通ったことがない割合49%
初等教育全体の修了率(2020-21年度)87.4%
前期中等教育全体の修了率(2020-21年度)48.1%
5歳以上の障害者の総数(人口1,410万人中)約69万人(4.9%)
5~14歳の障害児の概数約38,000人
幼稚園から大学までの教育機関に在籍する障害者の数(2019年)22,133人

参照元:Ministry of Education, Youth and Sport (MoEYS)公表WEBページより

多様な学びの場

カンボジアでは、障害のある子どもたちが教育を受ける場として、主に3つの形態が存在します。

通常学校(Mainstream/Inclusive Classrooms)

理念としては、障害のある子どもも障害のない子どもと一緒に学ぶ場ですが、現状では環境の未整備や教員の能力・理解の不足により、障害のある子どもが通常学級で学ぶ機会は限られています 。

たとえ就学していても、適切な支援やサービスを全く受けていないか、最低限に留まっている場合が多いのが実情です 。

統合学校・リソース教室(Integrated Classrooms)

これは通常学校の中に設置されるものの、通常学級とは異なる学級で、障害のある子どもの教育的ニーズに応じた教育が提供されます。

多くの場合、NGOの支援によって設置されたケースが多いとされています 。

特別学校(Special Schools)

障害の種類に応じた専門的な教育を提供する、通常学校とは異なる独立した学校です。

これらの学校の多くはNGOが運営しており、国が教員の給与を一部補填しています 。

例えば、シェムリアップには、聴覚・視覚障害児のための特別支援高校も存在し、チャイという聴覚障害と自閉症を持つ少女が医師になる夢を追う場所として紹介されています 。  

これら通常学校、統合学校、特別学校が併存していることは、カンボジアの教育システムがインクルーシブ教育への「過渡期」にあることを示しています。

真にインクルーシブなシステムであれば、主に通常学級での充実した支援に焦点を当てるでしょう。

統合学級(多くはNGOの支援によるもの)や特別学校の存在は、通常学級が多様なニーズに対応できるほどまだ整備されていないことを示唆しています。

このハイブリッド型モデルは、カンボジアがインクルージョンに向かって進んでいるものの、何らかの専門的な教育を提供するためには、いまだに分離された、あるいは半分離された環境に大きく依存しており、通常学級の能力における大きなギャップが浮き彫りになっています。

乗り越えるべき課題:教育現場と社会の壁

教員の質と専門知識の不足

1970年代の独裁政権下で多くの知識人や教員が殺害された歴史的影響により、カンボジアではいまだ教員の質が低いことが教育全体の課題とされています 。

特に、障害のある子どもを支援するための専門的な知識やスキルを持つ教員が不足しており、これは地方の多くの学校で顕著です 。

特別支援教育の専門的な研修を受けている先生方

教員はインクルーシブ教育のための知識やスキルが不足していると指摘されており 、Nguyen and Nguyen(2017)の調査でも、教員の知識とスキル不足が改めて明らかになっています 。  

さらに、発達障害(自閉症やADHDなど)といった比較的新しい概念については、保護者だけでなく教員の間でも十分な理解が不足していることが指摘されています 。

教員の質の低さと専門研修の不足が繰り返し言及されていることは、教員が教育システムにおける決定的なボトルネックであることを示しています。

たとえインフラが改善され、政策が制定されたとしても、適切に訓練された教員がいなければ、インクルーシブ教育は真に機能しません。

この状況は、教員研修への投資が単なる解決策の一つではなく、特別支援教育の質を向上させるために最も根本的で影響力の大きい介入である可能性を示唆しています。  

インフラ、設備、教材の未整備

圧倒的に不足しているインフラ

カンボジアの学校では、物理的なインフラの不足が深刻です。

スロープやアクセス可能なトイレ、障害のある生徒に対応するよう設計された教室が不足しており 、これはUNESCO(2020)の調査結果とも一致しています 。

写真提供:PhumiThmei primary school

このようなアクセス可能なインフラの欠如は、障害のある子どもたちの物理的な通学を直接的に妨げる要因となります。  

また、教室の数が不足しているため、一部の学校では午前と午後の二部制を採用していますが、これは減少傾向にあります 。

教科書は無償配布されることになっていますが、実際には児童・生徒だけでなく教員にも行き渡っていないことがあり、これは計画不足や配送段階の問題が原因とされています 。

教材全般の不足も指摘されており 、特に多様な学習者のための専門的な教材が不足している状況です 。

アクセス可能なインフラの不足は物理的なアクセスを直接的に妨げ、教室の不足や教材の不足は教育の「質」と「利用可能性」に影響を与えます。

これらの問題はすべての子どもに影響しますが、特に適応された環境と専門的な資源を必要とする障害のある子どもにとっては、より大きな不均衡な影響をもたらします。

このことは、インフラが単に建物に関するものではなく、学習が物理的に可能であり、適切に支援される環境を作り出すことに関係しており、低い就学率と修了率に直接結びついていることを浮き彫りにしています。

社会的な意識とスティグマの問題

カンボジアでは、障害のある生徒に対する否定的な態度が根強く、社会全体だけでなく、教員や教育関係者の間にも見られます 。

これが、主流教育からのスティグマ化や排除につながる可能性があります 。

発達障害などの比較的新しい概念について、保護者が十分に理解していない、あるいは障害と認識していない場合があります 。

Vong and Penh(2019)の調査では、障害のある子どもが差別や偏見に直面し、家族にとって負担と見なされることも多いとされています 。  

AAR Japanの報告では、支援学級から通常クラスに移った知的障害の女の子が、他の児童からのからかいや暴力、授業妨害を理由にわずか2週間で「退学」させられてしまったという痛ましい事例が示されています 。

この事例は、たとえ政策や物理的な統合が進んでも、社会的な受容の欠如がインクルーシブな取り組みをいかに損なうかを鮮明に示しています。

インフラや教員研修は具体的な問題であり、明確な解決策がありますが、社会的な態度やスティグマは、より深く根付いた文化的障壁を表しています。

これは、政策変更や物理的改善だけでは不十分であり、長期的な啓発キャンペーンや地域社会との連携を通じて、社会の意識を根本的に変えることが、真のインクルージョンには不可欠であることを意味しています。  

限られた予算とリソースの制約

インクルーシブ教育は、資金を含むリソースの制約に直面しています 。

カンボジア障害者団体(2018)によると、障害関連プログラムへの資金は限られており、教育や社会サービスよりも医療が優先されることが多いとされています 。

UNICEFやドナーレベルでの予算削減は、政府の期待に応えることを困難にしています 。

インクルーシブ教育プログラムは依然として深刻なリソース制約に直面しており、その必要性を完全に認識し優先順位を付けるためには、様々なレベルでのより広範な変化が必要です 。  

限られたリソースと資金という繰り返されるテーマは、他のすべての問題を悪化させる横断的な課題です。十分な資金がなければ、教員を適切に訓練し、アクセス可能なインフラを構築し、専門的な教材を開発し、効果的な啓発キャンペーンを実施することは不可能です。

これは、特定の介入が必要である一方で、政府と国際ドナーの両方からの投資の根本的な増加が、実質的な進歩のための前提条件であることを示唆しています。

また、政府内で障害関連教育がまだ資金面で最優先事項ではないという、優先順位付けの課題も示唆しています。

このように、カンボジアの特別支援教育は、インクルーシブな社会の実現に向けて、いくつかの大きな障壁に直面しています。

カンボジアにおける障害のある子どもの就学状況は、法的な理念と現実との間に大きな隔たりがあるのが現状です。

未来へ向けた希望を育む連携と政策

カンボジア政府の政策枠組み

カンボジア政府は、インクルーシブ教育の推進に強いコミットメントを示しています。

インクルーシブ教育政策(2018年)

インクルーシブ教育の「インクルーシブ(inclusive)」は、「包括的な」「包み込む」という意味を指す言葉です。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)はインクルーシブ教育を、「全ての子どもを包摂する教育」とした上で、障害がある子どもや性的マイノリティーの子ども、外国にルーツがある子ども、ヤングケアラーの子どもなど、多様な子どもがいることを前提として、全ての子どもの教育の保障を目指す理念だとしています。

現在、世界のあらゆる国で、この教育理念の実現に向けた取り組みが求められています。

カンボジアにおいては、この政策は、障害のある子ども、少数民族、貧困層出身者を含むすべてのカンボジアの生徒が、背景に関わらず質の高い教育に公平にアクセスできるよう、障壁を取り除くことを目指しています 。

その主な柱には、公平性とアクセスへの重点、個別教育計画や差別化された指導を含むカリキュラムの調整、教員研修と支援、地域社会との連携、そしてアクセシビリティとインフラの整備が含まれます 。 

国家障害戦略計画2024-2028

2024年に開始されたこの計画は、障害者の生活の質を向上させることを目的としています。

この計画の下で、障害者識別メカニズムの展開が進み、354,052人以上の障害者がデジタル情報管理システムに登録され、249,993枚以上の識別カードが配布されました 。

これらのカードは、障害手当や障害を持つ子どもたちへのより広範でアクセスしやすい社会保障へのアクセスを可能にします 。  

教育戦略計画(ESP)2024-2028

UNICEFの技術支援を受けて2024年に採択されたこの計画は、今後5年間の教育分野の主要な目標とターゲットを定義し、それらを達成するための優先戦略とプログラムを規定しています 。  

2018年のインクルーシブ教育政策の採択に続き、2024-2028年の国家障害戦略計画と教育戦略計画が策定されたことは、カンボジアの政策が段階的かつ包括的に進化していることを示しています。

これは、政府が概念的なコミットメントを超えて、具体的で期限付きの行動計画を策定していることを示唆しており、体系的な変化に向けた重要な一歩です。

デジタル登録とIDカードへの重点は、以前の「実態が不透明」という課題を解消し、データ収集とサービスへのアクセスを改善しようとする努力を示しています 。  

UNICEFが支援するインクルーシブ教育行動計画(IEAP 2024-2028)

教育省(MoEYS)はUNICEFの支援を受け、2024年から2028年までの画期的な4年間のインクルーシブ教育行動計画(IEAP)を開始する予定です 。

この計画は、教育システムを強化し、障害を持つ何千人もの子どもたちの権利を促進することで、彼らの生活を変革することを目指しています 。  

UNICEFカンボジア代表のウィル・パークス博士は、この計画の重要性を強調し、聴覚障害と自閉症を持つ7歳の少女チャイのような子どもたちを含む、すべての子どもたちが質の高い教育にアクセスできるよう、誰一人取り残されないことを保証すると述べています 。

参考画像

チャイの物語は、この計画がどれほど多くの障害を持つ子どもたちにとって「命綱」となるかを示しています 。  

UNICEFは、IEAPの開発支援にとどまらず、障害者団体(OPD)との連携を拡大し、国家障害行動評議会との協力を強化し、障害者インクルージョンパートナーズグループの共同議長を務めるなど、広範な役割を担っています 。

また、2025年の世界障害サミットでカンボジアが重要な役割を果たすよう働きかけるなど、カンボジアを国際舞台に位置づけることにも貢献しています 。

UNICEFの深い関与は、国際協力が単なる援助提供にとどまらず、カンボジアの制度的能力と政策実施を積極的に形成し強化していることを示しています。

これは、外部の主体が直接的なプロジェクト実施を超えて、「システムそのもの」に影響を与え、政策開発、調整、国際的な認知を促進することで、インクルーシブ教育のより持続可能な基盤を築いていることを示唆しています。  

JICAによる教員養成強化と教育の質改善への貢献

日本の国際協力機構(JICA)もまた、カンボジアの教育の質改善に大きく貢献しています。

JICAは、カンボジアにある2つの教員養成大学とその附属校の連携強化、および授業改善活動の促進を目的とした「カンボジア国教員養成大学強化を通じた基礎教育の質改善プロジェクト」(2024年3月~)を実施しています 。

視察研修

このプロジェクトの一環として、カンボジアの教育省高官やプロジェクト関係者(教員養成局の総局長、副総局長、2校の教員養成大学とその附属小中学校の校長、合計8名)が来日し、日本の教員養成大学や附属校の取り組みを視察しました。

日本の教師制度改革の実践と課題、教員養成大学の役割などについて経験を共有し、カンボジアの参加者からは日本の取り組みが大いに参考になるとの声が聞かれ、カンボジアの文脈に即して取り入れる方法を模索しました 。  

アプリ教材「シンクシンク」

JICAはまた、「思考力の向上」に重点を置いて開発されたアプリ教材「シンクシンク(Think! Think!)」をカンボジアの教育現場に広め、教育の質の向上に貢献する取り組みにも関与しています 。

JICAが教員養成大学の強化に焦点を当てていることは、教員の質と専門知識の不足というカンボジアが抱える重要な課題に直接対処するものです。

これは、短期的な解決策を提供するだけでなく、自国の能力を構築することを目指す戦略的かつ長期的なアプローチです。

JICAは「教員を養成する教員」に投資することで、国全体の教育の質を継続的に向上させる乗数効果を狙っており、これはインクルーシブ教育にとって極めて重要です。

日本への視察研修は、実践的で応用可能な知識移転への重点をさらに強調しています。

AAR JapanなどNGOによる現場での具体的な支援と成功事例

政府や国際機関の取り組みに加え、AAR Japan(難民を助ける会)をはじめとするNGOも、現場レベルで重要な役割を果たしています。

インクルーシブ教育の推進

AAR Japanは、障害の有無に関わらずすべての子どもが一緒に学ぶことを目指す「インクルーシブ教育」の普及に取り組んでいます 。  

通学支援

支援対象校では、障害児が親の付き添いなしにトゥクトゥク(三輪タクシー)で通学できるよう、交通費を助成する制度が一部で導入されています 。これは、通学の障壁を直接取り除く具体的な支援です。  

包括的支援

AARの10年以上にわたる活動は、教員の能力強化研修、校舎のバリアフリー化、保護者や地域住民への啓発活動など多岐にわたります 。  

具体的な成果

AARの支援対象校に通う障害児の数は、2013年の57人から2023年には184人へと増加しました 。また、障害児教育に関する研修を受けた教員・行政関係者は延べ1,366人に上ります 。  

課題への対応

たとえ通常クラスで困難に直面した場合でも(例えば、知的障害の少女がからかいを受けて「退学」させられた事例 )、AARの研修を受けた教員が家庭訪問を行い、個別指導を続けるなどの支援も行われています。

その他のNGOの取り組み

OrbRom Centerのような団体は、特別支援教育の状況を変革する先駆者として、言語療法、作業療法、包括的アセスメント、特別支援を必要とする子ども向けの就学前プログラムなどのサービスを提供しています 。

彼らはまた、地域社会との連携やインクルーシブ教育政策への提唱も重視しています 。  

AAR JapanやOrbRom CenterのようなNGOの具体的な事例は、政府システムではまだ広く提供できない特定の障壁(交通手段)や専門サービス(治療、アセスメント)に対処する実践的かつ現場レベルの解決策を実行する上で、NGOが不可欠であることを示しています。

彼らはイノベーターとして機能し、インクルーシブな実践を試験的に導入し、重要なギャップを埋め、政府やより大きな国際機関がスケールアップできる可能性のある成功モデルをしばしば示しています。

彼らの地域社会との直接的な関与は、社会的なスティグマの問題にも対処するのに役立っています。

多くのNGOが、障害児の教育支援において重要な役割を担っています。

教材の開発、教員の育成、地域コミュニティでの支援、職業訓練など、多岐にわたる活動が行われています。

聾唖児童に個別指導を行うJECSAカンボジアのボランティア活動

上記を総合して述べれば、カンボジアの特別支援教育は、多くの課題に直面しながらも、政府、国際機関、そしてNGOが協力し、未来を切り開くための具体的な取り組みを進めています。

インクルーシブな社会の実現に向けて

これらの政府のイニシアチブは、UNICEFやJICAといった国際パートナー、そしてAAR JapanやOrbRom CenterなどのNGOによる強力な支援と連携によって、具体的な成果へとつながっています。

国際機関は政策策定や制度能力強化に貢献し、NGOは現場での具体的な支援とイノベーションを通じて、インクルーシブな実践のモデルを構築しています。

しかし、カンボジアのインクルーシブ教育への道のりはまだ続いています 。

この変革は短期間で解決できる問題ではありません。

歴史的な根源、システム的な弱点(教員、インフラ)、文化的な障壁(スティグマ)、そして財政的な制約に、同時にかつ長期にわたって取り組む必要があります。

政府の継続的なコミットメント、関係者との連携、そして持続的な資金提供が極めて重要です 。  

最終的な目標は、すべての子どもがその潜在能力を最大限に発揮できる真にインクルーシブな教育システムを構築することです。

これは個々の学習者だけでなく、より公平で豊かな社会の実現にも貢献します 。

教員研修のさらなる強化、インフラ整備、政策の効果的な実施への継続的な投資、そして何よりも障害に対する社会的な態度の根本的な変革が、カンボジアが目指すインクルーシブな未来を実現するために不可欠です 。  

カンボジアの特別支援教育は、歴史的な背景に起因する教員の質やインフラの課題、限られたリソース、そして根強い社会的なスティグマといった深刻な障壁に直面しながらも、力強い前進を見せています。

政府は、インクルーシブ教育への強い政策的コミットメントを示し、インクルーシブ教育政策、国家障害戦略計画、教育戦略計画といった包括的な政策枠組みを整備しているゆえ、これから10年先・20年先の未来には少なくともこの分野への世間からの理解が深まり、ますます充実していくことが期待されます。

最後に

先日、カンボジアでは大変珍しい公立学校の特別支援学級に取材をしてきました。教室内は、障害児教育に理解の深いお二人の先生によって、きちんと運営されていました。ここに、明るい未来への見通しを大いに期待しています。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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