ワクチンを接種すべきかという判断
首都プノンペンのロックダウンが解けたことで、人々は地方への移動が自由になり、カンボジアのコロナウィルスは、地方にまで拡大しています。
シハモニ国王誕生日だった5月14日~16日の3連休では、大勢の人々がプチ国内旅行を楽しんだようです。
1年ほど前は、EU諸国での爆発的な広がりを尻目に見ながら、
カンボジアは年中暑い国だからウィルスは死滅する
感染対策をしっかりしているから大丈夫だ
とやや軽く見ていた国民も、今ではすっかり意識が変わったようで、徹底した防衛対策をするようにまでなりました。
特に、地方の人々は、昨年はマスクをしている人がほとんどいなかったのに、今ではほぼ全員がマスク着用、お札の消毒などを行っています。
フンセン首相の真剣かつ強い国民への訴えかけに、これはただ事ではないと悟ったのでしょう。
もちろん、指示に従わないものには強い罰則がありますからね。
さて、現在のカンボジア政府のコロナ対策は、
の2点です。
ここで問題なのは、既往症疾患者、アレルギー反応のある人、妊婦などを除き、国民全員に接種を勧めていることです。
これは、カンボジア人だけではなく、在留外国人も含めてのことです。
在カンボジア日本大使館が、ワクチン接種についてカンボジア保健省に問い合わせをしたところ、
というもの。
当然、在留邦人にとっては、②が最も気になるところです。
カンボジアのワクチンは、下の2種類です。
科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)
伝染病予防ワクチンの研究、開発、製造を行っている中国の製薬会社。A型肝炎、B型肝炎、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、狂犬病等の開発を進めている。主に感染症向けのワクチンの生産と販売に注力。
中国医薬集団(シノファーム)
同社は、医薬品販売事業、小売薬局事業、研究開発部門の3つの事業区分により構成。医薬品販売事業では、病院、診療所、他の販売業者に医薬品や医療機器を販売している。小売薬局事業では、医薬品チェーン店の運営に従事する。研究開発部門では、研究用品の販売、化学試薬の製造・販売、医薬品の生産・販売に従事する。
世界のワクチン比較
製造会社 | ワクチンの種別 | 回数 | 保存方法 |
アストラゼネカ(英) | ウィルスベクター | 2 | 2℃~8℃ |
モデルナ(米) | mRNA | 2 | -25℃~-15℃ |
ファイザービオンテック(米・独) | mRNA | 2 | -80℃~-60℃ |
ガマレア(露) | ウィルスベクター | 2 | -18.5℃ |
シノバック(中) | 不活性化ウィルス | 2 | 2℃~8℃ |
ノヴァヴァックス(米) | 組み換えたんぱく質 | 2 | 2℃~8℃ |
ヤンセン(米・ベルギー) | ウィルスベクター | 1 | 2℃~8℃ |
上の表で、保存温度と言う条件を考えると、モデルナやファイザー等のワクチンがマイナス数十度の保管であるのに対して、中国製のワクチンは通常の冷蔵庫での保管が可能な点がメリットになりますね。実際のところ、何百万ものワクチンを零下の温度で保管するのはカンボジア国内ではおそらく難しいことでしょうから。
なお、各ワクチンの体内での働き方に違いがあることも知っておく必要があります。
ウィルスベクターとは、「スパイクたんぱく質」と呼ばれる新型コロナウイルスを体内に生成し、人体の免疫システムにこれを攻撃することを学習させ、実際に新型コロナウイルスが体内に入ったときに同じようにこれを攻撃するというもの。
不活化ワクチンとは、死んだウイルスの一部を使用して体の免疫系を刺激する方法です。
mRNAとは、ウイルスの遺伝子コードの一部を体内に取り込み、人の免疫システムに学習させるというものです。
自分がどのようにウィルスと戦うのかという点で考えてみると、興味深いものがあります。
これは、ちょっと、安心できるニュースですが、5月7日に中国製のシノファーム製ワクチンに対して、WHO(世界保健機関)は「安全性、有効性、品質」を確認したと発表しました。
シノバック製やロシア製のワクチンについても、近日中にWHOから発表される見通しのようです。
カンボジアでは、これまでに、シノファーム製・シノバック製・アストラゼネカ製などの約450万回分を確保。すでに5月8日時点で、約172万人が接種を受けました。
5月中に、シノバック製ワクチン150万回分が到着する予定のようです。
政府は、2021年中には、1,000万回分の接種を計画しており、今後も追加のワクチン調達を予定しています。
カンボジアのワクチン接種が加速されていく中で、各個人がどのような判断を下すのか、選択を迫られています。
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