縫製工場労働者に輝かしい未来はあるのか
以前にもお伝えしたとおり、カンボジアの縫製工場労働者の最低賃金は2019年度において月182$と定められています。
つまり、182$以下の賃金で労働させてはならないと法的に定められたということになります。
もし、雇用者が最低賃金以下で労働させていたら、法で処罰を受けるということになります。
以前のような、給料不払いのような労働がまかり通ることも国際的な世論が後押しをして、無くなりつつあります。
これは一見、労働者にとって良いことのように思えますが、裏では以下のような事実があることを知る必要があります。
182$と言えば、19,500円(1$=107円換算)。
到底、我々の感覚では、生活をやりくりできない金額です。
ここプノンペンでは、労働者の賃上げをいいことに、各生産者が価格を上げ始めています。
プノンペンの経済状態は、明らかにインフレの様相を示しています。
生活の苦しさを涙ながらに訴える女性労働者。
地方から出稼ぎに来ている彼女は、友人3人と同居し、月30$の家賃のところ10$負担して住んでいます。
そして、最も厳しいのは食費だといいます。
昨年まで、1$分の牛肉で十分食事が作れていたのですが、今市場で購入すると手のひらにちょこんと乗るくらいの量になってしまいます。いや、実際に1$分だと少なすぎるので、商店主は1.25$、1.5$と要求してきます。
同じものを入手するのに、値段が高くなっていては、生活は楽にはなりません。
給料が7%上がっても、日常品の物価が25%~50%上昇しているのですから、当然のことです。
彼女は、毎月120$~150$を田舎の家族に送金しているのです。
すべての労働者が、家族を養うために働いています。
製品が値上げされたとか、会社の利益とかを考える余裕などはありません。
「私にとって、家族のことが第一なんです。」
と彼女は訴えかけます。
実際に、賃上げは雇用者側にも影響を及ぼします。
会社は利益を上げることが最優先課題ですので、労働生産性を上げて、賃上げによる不利益を埋め合わせをします。
それにより、
来年度には、労働組合は、最低月200$の賃上げを要求しています。
政府は、それに答えていく方針を打ち出していますが、なかなかそうはならない内外の事情があります。
賃上げをすれば、会社の利益が圧迫され、労働環境が悪化したり、解雇されたりして、その歪みは労働者に返ってくることになります。
経済的に体力のない工場は、閉鎖されていくのが常だからです。
彼女らの収入を少しでも支えることが、チアフルスマイルができる社会貢献の一つです。
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