PreyChum孤児院のビニルハウス建設に向けて

活動レポート

カンボジアの孤児院の数は、2017年調査において、内務省登録施設で254とされていますが、未登録を含めると406あるとの調査結果がユニセフによって報告されています。

カンボジア国内には、孤児問題のほかにも、児童労働、児童虐待、教育を受けさせないなどの問題も、世界の人権尊重を掲げる団体や調査機関からたびたび指摘されていますが、この調査からは、潜在的に、相当数の孤児が存在するということが読み取れます。

さて、この孤児を生み出しているカンボジア国内の状況。

それには、様々な社会的背景があります。

私自身がカンボジアを長い年月見てきて感じる理由を挙げてみます。

まず、第一に貧困があげられます。

生活費が足りないと、たいていの親は長時間の労働に就く必要があります。貧困は、生活時間を奪います。場合によっては、父親が収入の良い隣国のタイや他国へ出稼ぎに出ることもあります。これは、産業の乏しい地方部では当たり前のように行われているのですが、両親が長期間別々で生活することにより、家庭の機能は失われていきます。例えば、父親からの送金が滞り、母親が子供を置いて逃げ出してしまうといったケースを、貧困支援に携わる中で何度も立ち会ってきました。両親がいなくても祖父母が養育可能なら、孤児にはなりませんが、ここカンボジアでは、年を取った人ほど、教育をまともに受けていない人々が多く、子どもがきちんとした生活を送ることができず、学校に通えない状況さえもが生まれやすいのです。このような、孤児予備軍といえる子どもたちも私がマンスリーサポートを行っているリストの中に多く含まれています。

次に、高い死亡率があります。

今でこそ、カンボジアの平均寿命は70歳にまで伸びていますが、1980年代にはなんと40歳台だったのです。この時は、内戦中であったため、戦闘による死亡があったのですが、現代のカンボジア社会には、病気・事件や各種事故・自殺等の理由で、命を失う危険が潜んでいます。カンボジア北部エリアには、戦争の傷跡である地雷が各地に残されており、瞬時に親を失うケースもあります。また、上記の貧困とも関連しますが、命を落とさないにしても、現実逃避のドラッグによる薬物依存やアルコール中毒等に走りやすいのも家庭が崩壊する理由に挙げられます。日本では考えられないような理由により、普通の子供が孤児になってしまうリスクが社会生活の中に潜んでいるのです。

最後に、学びの欠如を原因にあげます。

それは、人として最低限の家庭生活を送るための人権の尊重、人間関係の構築力、正しい金銭感覚などが教育されていないことにあります。教育の3分野である学校教育・家庭教育・社会教育が、ポルポト時代・内戦中やその後の混乱した時代の中で働きようがなかった目に見えない負の遺産でもあります。例えば、学校の義務教育期間内(9年生まで)において、退学者が後を絶たないことが、基礎学力不足により、社会生活に必要な金銭感覚が欠如した大人を生み出します。また、日本の教育の中では、自主性を育てるために行われている教科指導以外の機能(例えば、特別活動の領域)が、カンボジアの学校には全くと言っていいほどありません。それゆえに、子どもたちの中には、手を洗う、歯を磨く、ゴミを拾うなどの基本的な生活習慣さえ身につけないまま大人になっていくケースさえあります。今、プノンペン市内のシアヌーク通りを通ってみればわかることですが、昨今の若者が、銀行の高金利のローンでバイクや車を入手し、たちまち返済不能に陥ったがゆえに、抵当権を行使されたそれらが、ずらっと店頭に並べられて販売されています。そのバイク群に高年式の新車同様のものが多数を占めている理由は、学校を中退した若者たちが毎月の返済ができなくなって手放したものだからです。彼らに複利の知識があれば、年利15パーセントもの高金利でお金を借りることが、生活にどのようなリスクをもたらすかを理解できるはずです。売却したくない場合には、人からお金を借りまくったり、悪事をはたらかせたりして返済に充てようとして、まっとうな社会生活を築けない原因となります。これらの欠如が、ひいては家庭崩壊にも発展することになるのです。

総括的に申し上げれば、孤児の存在は、社会の取りこぼしとも言えます。子どもは本来、家庭及び社会が育てていくべきものです。

しかしです。

ここで、社会がどうのこうのと原因を探ったところで、何の解決にもなりません。

そうです。

現実として存在している孤児たちにどのような手を差し伸べるか、これが急務の対処すべき課題なのです。

そこで、私たちは、コンポンスプー州のPreyChum孤児院を支援させていただくことになりました。

こちらの孤児院です。動画がありますので、ご覧ください。

Hopeful Assosiation of the Poorは、Sarath(サラット)氏が理事長をつとめるNGOです。

現在、幼児から高校生まで75名が生活しています。そして、16名の職員さんたちが、子どもたちの世話をします。

ここにいて子どもたちの笑顔に触れていると、彼らが孤児であることを忘れてしまいます。

先に挙げたカンボジアの社会的な背景を知ったうえで、ぜひともこの子供たちの様子をご覧ください。

17歳のパンニャちゃんは、軍人だったお父さんが亡くなり、ここにやってきました。お父さんが彼女にかけた教師になってほしいという願いを受け、一生懸命勉強を続けています。

職員さんは、暗闇の中、早朝4時起きで、調理を始めます。

100人分の3食分の食事を作るのにかかる労力を想像してみてください。

1日50㎏のお米を1か月分にすると1トン以上ものお米が必要なんです。

しかし、今問題なのは、子どもたちの食べているものに野菜があまりにも少ないことです。

成長期の子どもたちには、バランスの取れた栄養の摂取が不可欠なのです。

*農林水産省HP「食事バランスガイド」より抜粋

感覚に頼らないきちんとした栄養を管理できる人的支援も必要かもしれません。

私は、理事長及び後援者のBondithさんと、孤児院の現状について何度も聞き取り調査をしました。

この現状を変えるために、今、孤児院施設の裏の空き地に、自ら野菜を育てるビニルハウスを建設する計画が持ち上がっています。

 ここにビニルハウス2棟を建設して、毎日食べる野菜を栽培します。

野菜は、常時採取できますので、孤児院内で食べる分の他、市場に売る分も確保できます。

つまり、孤児院の他の食材を買うための予算も確保できるのです。

日本の皆さんに寄せる、理事長のサラットさんからのメッセージ動画をご覧ください。

実は、サラットさんは、大の日本びいきでもあります。それは、日本のカンボジアへの国際支援によるものに心から感謝しているからにほかなりません。

彼は、よく「いつか、日本を訪れたい。」と言います。

日本のODAについての記事は、こちらをお読みください。

子どもたちも、職員やボランティアさんたちの支えを受けながら、ここで規律正しい生活を送っています。

子どもたちの栄養確保を目指すビニルハウス建設への道のりのゴールは、まだはるか彼方にあります。

でも、これを強くイメージし続けることで、必ず目の前に現れるのが人生の法則でもあります。

私は、多くの人々のお力を借りながら、それをやってみせます。

2月28日まで、クラウドファンディングReadyForにて、ご支援いただけます。

【自らの手で野菜を】カンボジアの孤児院にビニルハウスを寄贈したい

ぜひ、皆さんも、75名の孤児たちを応援する仲間になっていただけたらと思います。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

あなたの手でカンボジアの孤児たちに希望を与えるプロジェクト

【自らの手で野菜を】カンボジアの孤児院にビニルハウスを寄贈したい

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