サービスを受けることが無料にはならないカンボジア

2020年6月23日

チップの意味

外国には、チップを与えるという習慣があります。

例えば、給仕・ホテルのポーター・ドライバーなど、直接お客様と接する業務の人々は元々低い所得で労働しています。

ですから、彼らは当然のことながら、与えるサービスは受け取ることを前提として行っています。

日常の中でのチップを渡す場面

例えば、私も生活の中で、チップを渡す場面がよくあります。

問屋さんに100冊の図書を買いに行きます。

購入すると、箱に詰めてくれるのですが、そこの店主が近くにいる若者にそれを駐車場まで運ぶように指示します。

私が、自分で運ぶからいいと断るのですが、どうしても運ばせたいようです。

しかたなく、運んでもらうと、そこがチップを渡す状況になるわけです。

また、ホテルでボーイさんに部屋まで荷物を運んでもらい、エアコンやテレビをつけてもらったりすると、ここでもチップを払う局面なります。

ここで、支払わなくても、決して問題にはなりませんが、やはり心情的には支払ってあげた方が、お互いに気持ちがいいということになります。

そもそもが、サービスに従事する人々は、給料がたいへん少ないので、こういうことを率先して行うことで所得の足しにしているわけです。

チップを払いたくないばかりに、自分の手で何でも行おうとする行為は、カンボジアのような途上国では見苦しい行為にも映ります。

郷に入らば郷に従えと申しますように、こちらの文化に従ったほうがより気持ちよく滞在できるというわけです。

日本人の感覚

日本はサービス天国ですから、日本人は大抵の人がサービスは無料で受けるという感覚に慣れています。

つまり、そのくらい行き届いたことをするのが当たり前だとさえ思っています。

それゆえ、チップを渡すという感覚を持ち合わせていません。

一歩外に出てみれば、この感覚は日本独自のもので、国際社会の現状とはかなりかけ離れていることを知らなければいけません。

私は、日本からお客さんを大勢招いていますが、これまでほとんどの方がチップを渡すべきときに渡すことができません。

いえ、渡す気持ちがあっても、いったいいくら渡したらよいのかの判断がつかないという経験不足からくるものと思います。

基本、ただのサービスはないと思っていて間違いはありません。

チップを渡せるようになるためには

仏教でいうお布施の意味は、必要としている人にお金や衣服などを与えることを言います。

カンボジアでは、どのパゴダ(寺院)に行っても、お金の寄進箱が設けられています。

十二支の箱が並んでいて、それぞれに小札を施すということをする実践の場になっています。

大きなお金ではなく、小さなお金を多くの人に与えることを実践することが良いとされています。

ちなみに、これは100リエル札の新札です。

これを各箱に入れると、施しをするという行為を体験できます。

そして、日常の場で実践していくと、徳を積むようになるということなのです。

私は、チップの考え方は、限りなくこの仏教の教えに近いものだと思うようにしています。

生活の場で実践するためには、まずは、1,000リエルくらいから渡してみましょう。

人の善意との見分けも必要

ただし、こんなこともあったりします。

つい先日のこと。

通りにあった店の人にバス停の場所を尋ねたところ、英語がほとんど通じなくて困っていたところ、たまたま店の前にいた他のおばさんが「この人は何を探しているんだい。」「どうやらバスに乗りたいみたいだよ。」などとクメール語で会話しながら、私の要求を理解してくれて、この先にあるよと指さしで教えてくれました。

私が徒歩でそちらに向かおうとすると、このおばさんがサイドカー付きのバイクで後をついてきて、

「送ってやるよ。乗りな。」

と手招きしています。

私は、炎天下で歩くのも大変なので、このサービスに甘えて、おばさんのバイクのタンデムシートに女座りで乗りました。

数分走ると、バス停が見えました。

私は、バイクから降りると、すかさず手に持っていた2000リエルを差し出しました。

すると、おばさんは手を縦に振って、

「いらないよ。そんなつもりで乗せたんじゃないよ。」

と言って、走り去っていきました。

私は、自分の行いを恥ずかしく思いました。

このように、人の善意による行為とサービス目的の行為と違う場合もあるので、気をつけなければいけないということです。

カンボジアには、こういう親切な人もたくさんいます。

 

チップという行為をまずは、楽しみながら実践してみましょう。

マナーを守っている感覚を味わいながら、気持ちよく旅行できるはずです。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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