カンボジアの孤児院における諸問題
以前、孤児院への訪問を希望される方が日本から来訪されました。
その時に、ある孤児院にボランティア訪問の問い合わせをしました。
HPに表示されていたE-mailのみを頼りに連絡を取ったところ、こちらの訪問依頼に対して、いただいたお返事はNOでした。
その理由は、孤児院は、子どもたちの生活の場であり、そこに見ず知らずの人を招き入れることは行っていないというものでした。
これは、子どもの人権に配慮すればこその対応で、当然だと言えましょう。
さて、このように子どもの人権に配慮している団体に対して、残念ながら運営の質を問われる団体もあります。
現在、いくつかの国際人権団体がその問題点を指摘しています。
こちらのシェア動画をご覧ください。
まず、孤児院で生活している子供のうち、実際に両親がいない真の孤児は3割ほどしかいないということが指摘されています。
つまり、7割の子どもには、父親か母親のどちらかが存在しているということになります。
ではどうして親のある子供が、孤児院に在籍することになるかというと・・・。
これには、カンボジアの社会的な問題が絡みます。
例えば、経済的な理由により親が育児放棄してしまうことが挙げられます。
また、病気、ドラッグ中毒など、養育能力のない家庭に生まれた子供たちもいます。
詳しい事情は知り得ませんが、親の責任放棄を孤児院側が背負っていることが問題点。
いずれにせよ、不遇な環境に生まれた子供たちを保護するのが孤児院の目的です。
次に、孤児院の運営費の問題。
自助努力で運営している孤児院さんもありますが、多くは寄付に頼らざるを得ません。
しかし、ここで問題として挙げられているのが、孤児院であることを利用して「ボランツーリズム」と呼ばれるビジネスに成り下がっている孤児院の存在です。
寄付金を集めるための道具として、子供たちを利用する。
特に、シェムリアップでは、旅行者や観光客を集めて、孤児によるアプサラ・ダンスショーを見せて、Donation(寄付)を得るという仕組みを作り、お金を稼ぐことのみを目的としている施設があると言われます。
例えば、
などです。
こうして集められた寄付金が、運営者の懐に入るしくみになっているとしたら大きな問題です。
もちろん、子どもを犠牲にしてお金を稼ぐことは、ボランティアの道を外しています。
そして、別の側面からの問題も指摘されます。
外国人が孤児院を運営することは、自国の文化よりも他国の文化に染まる恐れもあるわけで、成人してから社会復帰が難しくなるという発展的な問題をも抱えます。
例えば、ヨーロッパの支援による孤児院では、毎日礼拝をおこないます。この、キリスト教文化を身に付けた子供が大人になって、カンボジアの仏教文化の中でどのように適応していくかと考えてみましょう。
中には、社会に対応できず、孤児院内で働くという道をたどりやすくなるという問題も生じます。
加えて、孤児院の運営には社会的な資格制度がなく、教育や福祉への見識に乏しいケースがあり、最悪の場合、児童虐待や小児性愛につながることも問題提起されています。
人権が守られない環境で育った子供は、大きなトラウマを抱え、心に傷を持ったまま大人になっていきます。
このような現状から、カンボジア政府も本腰を入れ始め、不適切な施設の摘発に乗り出しています。
2023年に訪問させていただいたプノンペンのくっくま孤児院さん。
こちらは、NGOグローブジャングルさんのバックアップで経営されている孤児院さんです。
ここには、21名の子どもたちからお母さんと呼ばれている日本人女性がいます。
カンボジアに来て、16年という楠美和(上の写真左)さん。
開所当時は、食べるものもなく、近所のローカルレストランの残り物をもらったり、ゲストハウスやホテルで出す魚の切った後のキリかすを取りながら食材を確保したりして、子供たちに食事を作っていたと言います。
子供たちの将来を案じ、真剣に考えていらっしゃるからこそ、この孤児院の運営は成り立っていると思うのです。
私も支援物資をお持ちして、子供たちに直接手渡しさせていただきました。
くっくまの子どもたちは、本を読むことが大好きでした。
少しばかりですが、運営費の足しに寄付をさせていただきました。
子どもたちから、お母さんと慕われている楠さんを今後も心から応援したいと思っております。
孤児院さんの訪問に関しては、確かに子どもたちの人権に関わるセンシティブな問題があります。
こうして、子供たちの様子をWEBページに掲載することも快く許可してくださいました。
それは、外部から口をはさむ人権云々という問題そのものよりも、自分たちが生きている証しを一人でも多くの皆様に見てもらいたいという子どもたちの想いからくるものだと思います。
健全な運営がなされていて、子供たちもダンスを練習することで夢を育んでいるとしたら、どんどん訪問してあげたいと思います。
実の親の顔さえも知らない子どもたちが、こんなにも生き生きと生活できている事実。
それは、ひとえに自らの人生をかけてここで子どもたちの生活に関わっている楠さんをはじめスタッフの皆様の努力によるものです。
NGOの在り方については、本HPでも何度も触れてきました。
私自身もNGO団体に所属し、役員がビジネスクラスで渡航を繰り返したり、高級ホテルに滞在したりする事実を知り、愕然としたものです。
月に一度の食事会にスタッフが呼ばれ、さしておいしくもない日本食をふるまわれたとき、こういうお金があるなら、生徒たちが使う教材を購入してほしいと申し出ましたが、残念ながら受け入れられませんでした。
このお金は、すべて支援者からの寄付によるものだからです。
このように慈善団体は、その目的と寄付金の使用方法が問われてしかるべきだと思います。
皆様にお願いがあります。
どうか寄付をするときには、その使われ方を再考査してください。
できることならば、直接支援できる団体を選ぶとよいでしょう。
チアフルスマイルでも、正当なNGO機関として、「すべての支援はカンボジアの子どもたちのために」を貫いていきたいと思います。
上で挙げたような悪質な孤児院は、極端な例です。自らのお金を子どもたちのために使い、彼らの幸せを願って運営されている孤児院様も数多く存在していますので、あなたの目できちんと見分けることが大切だと思います。
注)以前の記事が、特定の孤児院様の立場を悪くするものだというニュアンスのご指摘を受けました。この場を借りて、お詫び申し上げます。今回、真意が伝わるように文章を訂正させていただきました。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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今日もあなたに素晴らしい一日が訪れますように、オークン。