私はアフリカの地を踏んだことはありませんが、カンボジア支援に携わる立場として、国際支援に関しては深い関心を持っています。
そこで、今回はアフリカの内戦が無くならない理由について理解を深めましょう。
キーワードは、
鉱物、武器、利権
です。
では、さっそく問題です。
Q1 なぜアフリカ大陸の国境線は、直線になっているのでしょうか。
A1 正解は、現在の国境線が、19世紀にヨーロッパ諸国がアフリカ大陸を植民地化した結果、列強国の話し合いにより、地図上でペンと定規に引かれた線だからです。これは、中学校の社会科で学んだ方もいるかもしれません。現在の中東にも、フランスやイギリスなどの役人によって策定された国境線があります。
さて、次は1994年4月から約3か月の間に延べ100万人の人々が殺されたというルワンダ虐殺に触れてみようと思います。多数派のフツ族が少数派のツチ族を皆殺しにしようとしたという事件です。この史実は、映画「ホテル・ルワンダ」や「ルワンダの涙」(お勧め)にも描かれています。
Q2 なぜ、ルワンダで今世紀最大の虐殺が行われたのでしょうか。
A2 正解は、ルワンダの宗主国であったベルギーが、少数派のツチ族に権力と武器を供給し、彼らに統治を統治を行わせた結果、民族同士の憎しみを生み出したからです。
1971年にアメリカのスタンフォード大学で研究された監獄実験と言うものがありました。被験者を看守と囚人に分け、行動の変化を追跡するという心理的要因を検証するこの実験は、最終的には単なる実験の領域を超え、看守が囚人を殺害してしまうという痛ましい結果になります。これは、ドイツ映画「エス」(エスとは、フロイト心理学でいう自我の意味)で克明に描かれています。
虐げられたフツ族の人々が、憎むべき対象は宗主国のベルギーであったにもかかわらず、その矛先はベルギーの手先になっていたツチ族に向けられたという構図。
ベルギーが行った統治のやり方により、元々は民族間の違いはあれどつかず離れずの適切な関係を保っていた民族同士の憎しみを生み出し、最悪の結果を生み出したということです。
この手法は、日本が清に溥儀と言う皇帝を立て満州国を設立した経緯にも、このカンボジアにアメリカの支援を受けて生まれたロンノル政権にも見て取れます。
すべて、国が得る利権が背後にあります。
Q3 アフリカは資源が豊富なのに、なぜ難民が無くならずに経済的に豊かになっていかないのでしょうか。
A3 アフリカの鉱物には、人間の欲が絡みます。ダイヤモンド採掘の利権を手にした業者が国家を抱き込み、そのダイヤモンドを先進国の市場に流し、巨大な富を得た業者が既得権を守るために軍備の増強をし、制圧した他地域から労働者を集めて強制労働をさせるという悪循環が生まれました。富が武器に変わり、力によって他を制圧し、利権を守り通す。カラシニコフなどの軽量の機関銃が大量に出回ったことも、少年兵士を産み出すことになりました。
この構図が、貧富の差を生み出し、絶対的貧困の背景にあると考えられます。
ダイヤモンド、金、コバルト、プラチナ等の鉱物資源が豊富なシエラレオネと言う国で採掘されるダイヤモンドが血塗られたダイヤモンドと言われました。ディカプリオ主演の映画「ブラッドダイヤモンド」(アマゾンプライムで鑑賞可)でも、この国の様子が描かれています。
しかし、先に挙げた虐殺後のルワンダが、20年で奇跡の経済復興を遂げたという例もあります。政府主導で、国を立て直すことは可能なのです。歴史をさかのぼってみても、日本の戦後の高度成長然り、カンボジアの2010年以降の経済成長然り、底辺を見た国は、自らの力で奇跡の復興を遂げています。
国際紛争、内戦・民族問題、政治問題、貧困格差等をテーマにした映画も併せてご紹介させていただきました。ぜひご覧いただければと思います。