カンボジアの高等学校が抱える大きな課題
先週の土曜日は、NPO法人Follow your heartの代表の斎藤氏をこちらの学校にご案内するために、訪問しました。
学校側には、ソムナン校長がご対応。
私もすでに3度目の訪問とあって、顔馴染みとなっております。
一度目の訪問での支援に関する記事はこちら。
斎藤氏は、オンライン教育を普及させるための団体を運営されています。
彼は、団体理念である、
生まれた場所や環境に限らず、誰もが夢へ挑戦できる社会へ。
について、プレゼンを通して伝えています。
それを真剣に聞き入るサムナン先生。
話の後、サムナン先生から、支援の受け入れ承諾をいただき、交渉成立。
今後、Follow your heartさんは、こちらの学校のオンライン教育を支援していくことになりました。
この高校は、全国でも20校しかないIT教育先進校で、ネットワークシステムが導入されたコンピューター室が設置されています。
その活用も含めた末広がりな教育活動が展開されていくことでしょう。
実は、この話し合いの中で、カンボジアの教育の根幹にかかわるある重要な数値的な事実を校長先生から伺い、考えさせられることがありました。
それは、こちらのメモにあります。
サムナン先生のメモを写メさせていただいたものです。
この高校は、中学校も併設されており、現在の在籍数は、中高合わせて、
1951人
です。
学年 | 在籍数 | 女子生徒数 |
7(中学1年) | 443 | 235 |
8(中学2年) | 281 | 160 |
9(中学3年) | 249 | 126 |
10(高校1年) | 401 | 214 |
11(高校2年) | 306 | 160 |
12(高校3年) | 271 | 148 |
この数字、7年生~9年生に進むにつれ、人数が減っているのです。
また、10年生~12年生についても同様です。
これが、何を意味するのかお分かりですね。
そう。
中途退学
なんです。
その退学の理由を直接校長先生にお聞きしたところ、授業の指導内容についていけずに登校しなくなり、最後には辞めてしまうということです。
日本の方は、貧困が理由だと考えるかもしれません。
でも、実際には、クメールルージュ~内戦時のような絶対的な貧困はカンボジアには少なくなりましたし、学校へ行けないほど極貧の家庭も少なくはなりました。
それよりも、必要な学力を持たないまま中学校に進学したがゆえに、退学をせざるを得なくなったその根底にある要因に目を向けるべきでしょう。
私が考える背景には、
が初等教育にあるからだと見ています。
特に、顕著についていけなくなる科目として、国語(クメール語)、数学、物理等をあげていました。
どれも、思考力を必要とするものであり、暗記中心の学習では、学びを深めていけない科目です。
この話を聞いて、
と改めて認識をし直しました。
これは、たとえ学校建設をしただけでは、解決に近づいていきようのない問題です。
また、ソムナン先生は、退学した生徒は、家事を手伝うことになるのですが、中には年齢詐称をして縫製工場で働くようになる子もいるとおっしゃっていました。
カンボジアでは、子供が家計を助けるのが当たり前。
こうして、学びを捨てた子供たちは、資本主義の下で労働者に仕立て上げられていくのです。
話は変わり、こちらのツーショット写真。
Chan Thnal high schoolの生徒のLicchy君です。
彼は、とりわけコミュニケーション能力に長けており、私にも気軽に話しかけてくるので、このような関係がすぐに出来上がりました。
彼の学びの足跡を示すノートです。
彼は、小学校のときから塾に通って学びを深めた、いわゆるできる生徒です。
流ちょうな英語を話し、高校生としてはボキャブラリーも豊富です。
学びを絶たれた生徒たちと学びを深めている生徒たち。
ここに教育格差の実態を垣間見ることができます。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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